毛綱毅曠 さんの作品を振り返る 第二回 2016-05-04
水曜日担当 工事部の川村です。
先週に引き続き、「毛綱毅曠 さんの作品を振り返る」 ⇒ 前回の記事はこちら
最終回(笑)の今回は私が唯一、毛綱さんの作品の中で好きな建築をご紹介いたします。
『北海道釧路湖陵高等学校 同窓会ギャラリー』
建築を学んでいた頃に建設されたこの建物は、当時から好きな建物の一つでした。
建築雑誌に紹介されたこのギャラリーを見た時、
『なんでまた、赤と白に塗り分けたのだろう…』と思ったことを思い出します。
今では、ちょっと汚れてしまった様で、赤と言うよりかは、落ち着いた赤茶でしたが、
建設当時の写真は、かなり赤かった記憶があります。
当時から、写真で見ていて、この垂直じゃない壁や、屋根形状、
下見板張りの外壁などがどうも、私には舟を想像せずにはいられませんでした。
色合いは別です(笑)
そして今回、実際に見てわかった気がします。
昔のバイキングの舟か何かのオールで漕ぎ出す舟の様ではないですか?
このポジションで見た時に、瞬時にそう感じました。
このデザインは、毛綱さんの作品の中で、一番だと私は思います。
デザインと言うか、全てが。
建物へのアプローチが、まるで階段を登りフェリーに乗船するかのように、
ブリッジを渡って建物に入っていくのもそうですし、
ちょっと傾斜地に埋め込んでいるのが、まるで砂地に上陸した舟の船首を想像させたり。
この釧路湖陵高等学校は、毛綱さんの出身校らしく、
同窓ギャラリーとして設計を依頼された時に、この学校を卒業した生徒に、
「母校には、日本を代表する建物があった!」
といつまでも記憶に残るものを設計しようとしたのではないでしょうか?
在校生、卒業生が、どこまで毛綱さんの事を知っているのかはわかりませんが、
私からしてみると、このような建物が身近にある中で学べたのは、うらやましい限りです。
前回もお伝えしましたが、上の考察は、私の想像なので、本当の意図は、
全く違うかもしれませんので、その時はごめんなさい。あくまでも個人の感想です。
この建物の場所は ⇒ こちら
毛綱さんは、釧路エリアに他にもたくさん作品を残されています。
釧路エリアにお住まいの方たちなら、一度は知らずに触れているかもしれません。
釧路市湿原展望台
釧路市立博物館
弟子屈町屈斜路コタンアイヌ民俗資料館
その他にも、学校や、住宅なども。
もちろん釧路以外でも、作品を残しています。
残念ながら、すでに亡くなられていますので、今後新しい作品は増えません。
今ある建物が、いつまであり続けるかわかりません。
興味のある方は、一つでも実際に建物を見て、毛綱さんの思いを何か感じてほしいと思います。
掲載日:2016年05月04日